労働市場の流動化は非正規労働者にとってメリットかデメリットか?

労働市場の流動化は非正規労働者にとってメリットかデメリットか?

非正規雇用

解雇規制緩和により解雇ルールが明確化されたら

労働者といっても一概に同じではないとはいまさら言うまでもない。

大企業の労働者が春闘でハチマキをしてベアを要求している横を同じ職場ではたらく派遣労働者が雇い止め期限が近づいて次の職場を探している。

現代はそのような状況になっているのに解雇規制緩和と言われて誰もが同じ条件で影響を受けるということはない。

非正規労働者の割合が現代では約35%となっている現状であると同時に、非正規労働者は全体の労働者の中で多数派にはならない分だけ更に弱い立場といえるかもしれない。

今回はその非正規労働者の視点から解雇規制緩和について考えてみたい。

解雇権濫用法理は本当に労働者を守っているのか。

労働者は法律によって守られているから、使用者は容易に労働者を解雇することはできない。

それは労働者にとっては希望であろう、そのため、解雇をしやすくするための政策である解雇規制緩和などもっての外だとお考えの方も少なくないかもしれない。

しかし、よく考えて欲しい、非正規労働者が解雇されるということはまず無いと考えていいだろう。

非正規労働者は期間が定められている雇用であるので、期間が満了しさえすれば「解雇」ではなくて「雇い止め」すればいいだけだからだ。

そのような労働者に対して企業がわざわざ危険を犯してまで解雇を考えることはまず無い。

また、従業員30人未満程度の中小零細企業ではたらく労働者が、「経営が厳しいから辞めてくれないか?」等と言われて、裁判で最後まで労働者の権利を主張して勝つ労働者の数と、泣き寝入りしている労働者の数は統計には出てこないだろうが、おそらく数十倍くらいあってもおかしくないだろうと思われる。

いったい解雇権濫用法理は誰を守っているのかという疑問が出て来るのは当然である。

解雇規制緩和(解雇がしやすくなる政策)で大企業の労働者は解雇されやすくなる

現在有識者会議などで議論されている解雇規制緩和について基礎からわかりやすくわかるように以前のエントリーで書いた

解雇規制緩和について今さら聞けない基本事項

この解雇規制緩和は解雇規制で労働者の権利を固く守られている大企業の労働者にとってはデメリットであると言える。

今後、整理解雇の4要件も時流に見合わせたものに改正されていくかもしれないし、その他、解雇が金銭解決でもって明確にルール化されることも大企業労働者に影響が出てくるかもしれない。

しかし、もともと解雇が平然と行われ、泣き寝入りしている労働者が多い中小零細企業ではほとんど影響ないと考えても良い。

むしろ、金銭解決という明確化されたルールができることによって、それまで長い裁判で争っていた労働紛争を簡単に解決できて次のステップを踏みやすいという現象も起きてくることが考えられる。

解雇規制緩和は大企業の労働者にとってはデメリットであろう。

しかし、労働者の全体を見てみた時、非正規労働者や零細企業ではたらく正規労働者にとっては恩恵になる可能性があることも考慮する必要がある。

3 thoughts on “労働市場の流動化は非正規労働者にとってメリットかデメリットか?

  1. gkrsnama
    says:
    Reply返信

    今、解雇は経営者が30日前に解雇通告をおこなうことではなく、「徹底的な人格攻撃を加えることで」労働者の精神を破壊し自発的な依願退職を提出させることで実現されています。自己都合退職ですから、退職金も失業手当も少ないです。もちろん人格攻撃を加えているわけですから事前に再就職の準備もできず、精神が壊れて退社するわけですから解雇後もその能力を奪い取ることになります。

    こういう、刑法犯罪といっていいリストラ(パワハラ)がほとんど自明のこととして社会に組み込まれている日本の現状は、先進国として全く異常なことで、国民の資質や倫理観を疑うほかありません。

    解雇予告期間を大幅に増やすという条件でなら、解雇規制を緩和することは、労働者にとっても好ましい変化ではないでしょか。

    1. Reply返信

      コメントありがとうございます。
      「キャリア開発」などという名目の追い出し部屋と呼ばれる部署が大企業にはあるというニュースはよく耳にします。ご指摘の通りその様な人格攻撃がされる状況は人権問題ですし、そのような制度を設置しないと解雇できない日本の雇用環境は労使ともに不幸な関係で無意味だと思います。ただ、解雇規制緩和が安易な能力不足解雇まで含めてしまう場合、いわゆるブラック企業による労働者の使い捨てが予測され懸念材料となるのではないか思います。

    2. Reply返信

      解雇予告期間が伸びて何が変わるんでしょうか?
      同職場の同僚から白い目で見られる期間が伸びて
      何か好ましい状況になるんでしょうか?

      またパワハラをなくすために、「解雇の規制緩和」をすると
      あります。むしろ横行するんじゃないかと、
      労働者を切り捨てやすくするんですから。
      今まで労基法で使用者の言うことを拒否できていたことが
      拒否できなくなるんですよ。

      でも決まったら受け入れるしかないんですよね、残念です。

Leave a reply

メールアドレスが公開されることはありません。